06 気叶金蘭 精煙(上海墨厰)
気叶金蘭は、幕末の日本人などにも親しまれた銘柄で、中国の各墨匠が広く製造していた。2文字目の「叶」が「葉」の簡体字であることもよく知られていて、正しく「きようきんらん」と呼び習わしてきた。それが紫玉光と同じ様に新中国では低ランクの製品に位置付けられ、「精煙」というよくわからい表記がされている。今回用いたものは、黄色い紙箱に入った90年代以降の製品。
磨墨した際の松鶴硯との相性は、少々粘着く感じがあり良くはないが、著しく悪いわけでもない。
試筆してみると、05紫玉光とあまり差がないものの、ほんの少し気持ち程度に肌理が粗く濁って黒く見える感じがする。無論、先行する各品同様、清朝期の佳墨とは一線を画するが、安価であることを思えば、それなりに活用できるものだろう。
表面:気叶金蘭 上海墨厰角印
裏面:蘭図
頂辺:精煙
尺寸:106×27×15mm