残笏居 隅神帖 墨色比較15種 13 墨寶 南都御上リ油烟(古梅園)

15種の墨の墨色を比較する連載「残笏居 隅神帖」
今回の墨は、どんな墨色でしょうか?

15種類の墨の墨色を比較する連載「残笏居 隅神帖」。今回の墨は、どんな墨色でしょうか?

13 墨寶 南都御上リ油烟(古梅園)

 奈良の老舗古梅園の明治から大正あたりの製品だろう。頂辺に朱漆で「上」の文字が記されている。裏面の文字から言って、かつての南都油煙の典型的なものと言ってよかろうか。
 磨墨した際の松鶴硯との相性は、大概の和墨がそうであるように、あまり良い磨り味ではない。この相性の悪さを胡麻化すために、日本ではしばしば斜め磨りを行ってきたのだろう。
 試筆してみると、濃墨淡墨ともにすっきりした色合いを呈す。思うに、古い唐墨の色合いというものを、よく学んでいたのだろう。ただし、似ているのは色だけで、紙の表面上に留まり紙中に入っていく力に乏しい。それは、線質の立体感の無さに繋がり、和墨と唐墨との大きな違いになっている。付記すれば、この差は使用感などにも影響し、和墨の方が唐墨を用いるより数段容易に線を引くことができる。自ずと使用者の力量の有無に繋がっていく。

表面:墨寶
裏面:南都御上り油烟 古梅園
頂辺:上(朱漆)
尺寸:139×32×12mm

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