残笏居 隅神帖 墨色比較15種 11 御製民生在勤詩墨 四

15種の墨の墨色を比較する連載「残笏居 隅神帖」
今回の墨は、どんな墨色でしょうか?

15種類の墨の墨色を比較する連載「残笏居 隅神帖」。今回の墨は、どんな墨色でしょうか?

11 御製民生在勤詩墨 四

 耕織図など民の勤労を推奨する御製詩は、その情景を絵画に仕立て、清朝期を通して好まれた。そして、しばしば献上用のセット墨の図案に用いられた。ここで用いるものは、おそらく清末、休寧の蒼珮室胡開文の手になる製品だろう。
 磨墨した際の松鶴硯との相性は、古墨特有の緻密さがあって、可もなく不可もなく。
 試筆してみると、09の特製油煙よりも色が出るも、全体的に弱い発色に止まる。肌理が細かく古墨の資質たる澄んだ感覚もあるのだが、休寧の墨がそもそも濃淡のつきにくいのが特徴である上に、用いた紙の質がやはり役不足な感が否めない。このあたりの古墨の質を見るためには、紙の質を上げる必要を痛感してしまう。

表面:四 考彼幽風……
裏面:御製詩図
尺寸:50×24×11mm

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