11 御製民生在勤詩墨 四
耕織図など民の勤労を推奨する御製詩は、その情景を絵画に仕立て、清朝期を通して好まれた。そして、しばしば献上用のセット墨の図案に用いられた。ここで用いるものは、おそらく清末、休寧の蒼珮室胡開文の手になる製品だろう。
磨墨した際の松鶴硯との相性は、古墨特有の緻密さがあって、可もなく不可もなく。
試筆してみると、09の特製油煙よりも色が出るも、全体的に弱い発色に止まる。肌理が細かく古墨の資質たる澄んだ感覚もあるのだが、休寧の墨がそもそも濃淡のつきにくいのが特徴である上に、用いた紙の質がやはり役不足な感が否めない。このあたりの古墨の質を見るためには、紙の質を上げる必要を痛感してしまう。
表面:四 考彼幽風……
裏面:御製詩図
尺寸:50×24×11mm