Instagram展開中! 西村修一のShodo見て歩き vol.1 安藤豐邨展

安藤豐邨展
古代文字渉歴  詩・書・篆刻・刻字
会期 2023年4月20日~26日
会場 東京・上野の森美術館

 日本の現代書の一翼を担う刻字分野で活躍する安藤豐邨が4月下旬、東京・上野の森美術館で7年ぶりの個展を開いた。
 刻字といえば、自らの書作品を木版などに彫り込み、金銀箔や彩色で仕上げる。モノトーンの書の世界では珍しい、色彩感覚に溢れる分野。かつては主に寺社や店舗の扁額に使われたが、今では芸術志向の強い書の一分野として国際的にも注目を集めている。
 それだけに、制作工程は複雑で手間暇がかかるが、安藤はさらに素材となる漢詩までを自作する現代では珍しい文人志向の書人だ。師事した渡辺寒鷗が書画、詩作、篆刻をよくした教養人で、その師風を大切に守っているように見える。
 個展には、前回の個展以降の作品、百余点を展示した。「高天井で展示したいので、初めてこの美術館を使った」。その言葉通り、広い会場を生かして、縦8尺、横に4幅、6幅の大きな屏書が林立する。
 傍ら、緻密な小世界の篆刻はケースに並べ、得意の刻字も屏書の間などに配置して存在感を示す展示をしていた。使っている文字は甲骨文字や金文など中国の古代文字とあって、日本ではあまり見ない異次元の展示空間となっていた。
 作品はすべて自詠の漢詩。その舞台は日本を飛び出し、度々個展を開いた中国や、毎日書道会などで海外展に参加したり、個人旅行したアジア、欧州など世界中に広がっている。
 一方で、先人の業績や書友の慶事、自身の日常生活や人生の節目などを謳いあげる心象風景的な作品も並んでいる。漢詩作りは約束事も多く、緻密な創作作業を求められる。しかし、大病を克服して吹っ切れたようで、詩作に透明感がでてきた感がある。
 2007年に若くして毎日書道展文部科学大臣賞を受賞しているが、これを機にさらに活躍の場を広げてもらいたい。

(書道ジャーナリスト・西村修一)

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