2022 夏の個展 ピックアップ① 室井玄聳書展 想いを紡ぐ・ことば

室井玄聳書展 想いを紡ぐ・ことば
会期 2022年7月21日~31日
会場 セイコーハウス銀座ホール

仏仏不言(ぶつぶついわず)
114.4✕52.7

 室井玄聳氏は1950年生まれ、東地滄厓に師事。毎日書道会を中心に活躍し、2016年より創玄書道会理事長を6年間務める。現在、毎日書道会理事、全日本書道連盟常務理事、創玄書道会会長、日本詩文書作家協会理事長他の要職にある。
 本展は、「想いを紡ぐ・ことば」をテーマに、今までの書業の集大成とも位置づけられる初個展である。
 滔々と流れることばの川の中に室井氏が立ち、自分に引っかかったものを拾い上げたという感じだろうか。だから脈絡があるようでないような、それでいて大言壮語ではない、やさしさのあるさりげないことばという室井氏らしい共通点が見いだせる。
 もうひとつの共通点が、ことばを記していく直線の強靭さだ。師の東地滄厓に徹底して直線を鍛えられたというのがうなずける。漢字大作はもちろん、かな文字の曲線も短い直線の集合体であるから、これもまた漢字とは趣を異にした強靭さをもっている。
 日常で日々行き交う平凡なことば。「ありがとう」「ごめんね」「うれしい」「会いたい」「お母さん」……。これらが「書」になると、違うステージに昇華される。見るものにそれぞれの物語を想起させるのだ。書の醍醐味はここにある。観客は一作一作に立ち止まり、長い時間をかけて鑑賞していた。

(f)

遠塵離垢(おんじんりく)
115.4✕56.5✕2
冬銀河 人は誰もが星になる 山崎明子句
93✕128
だれも逢はない道はでこぼこ 種田山頭火句
116✕85
だからいまあいにいく
70✕109
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