08 鉄斎翁書画寶墨 油煙一〇一(上海墨厰)
鉄斎墨は中国国外へ向けて毎年1万余斤もの量が販売されている。紛れもなく現代の唐墨を背負って立つ製品である。ここで用いたものは、2022年に輸入された今出来のもの。
磨墨した際の松鶴硯との相性は、ネチネチと粘っこく溶けるようで先行して用いたどの墨よりも気持ちの悪い磨り味である。
試筆してみると、色合い的には先の07鉄斎翁書画寶墨に全体的によく似ている。少しばかり濃くでる箇所があるぐらいか。ただし、紙中に入る力が弱く紙上に留まって線質が平坦に見える。磨墨感でも知られるが、膠がかつてのものとは大きく変わり、質的に劣ったものになっている故ではなかろうか。紙上に留まっている線質を見ていると、かえって和墨に近づいている感すらある。
表面:鉄斎翁書画寶墨
裏面:国華第一 桜図
側面:徽歙曹素功堯千氏 丸印
頂辺:油煙一〇一
尺寸:112×32×12mm