文房四宝だいすき帳 vol.17 墨のサイズは重さが基準

墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。
書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。
大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。

墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。

vol.17 墨のサイズは重さが基準

 前回は、和墨(日本の墨)と唐墨(中国の墨)の特徴の違いについて考えました。和墨と唐墨では、サイズの表現の仕方も異なります。ただし、どちらも重さが基準になります。
 まず、和墨ですが、和墨では1丁型(いっちょうがた)が基準になり、その重さは15gです。これは4匁(もんめ)という重さに相当しています(1匁は3.75g)。そして1丁型が15gなので、2丁型は15gの2倍の30g。同じ要領で、3丁型は45g、5丁型は75g、……10丁型は150g、となっていきます。
 ちなみに、「丁」は、もともと、墨を数えるときの単位として用いられてきた言葉。一般に細長いもの(槍や蝋燭、三味線まで)を数えるときに使用される「挺」「梃」の代用字(書き換え字)です。

和墨は1丁型(15g)を基準にサイズが示される。

 これに対して、唐墨では、1斤型(いっきんがた)が基準になり、その重さは約500gです(以下、約は省略)。和墨とは違って基準のサイズが重いので、和墨の1丁型に近いサイズは、1/32斤型(32分の1斤型)になります。つまり、1斤型は500g、1/2斤型は250g、1/4斤型は125g、……1/32斤型は15.625g、というように、和墨の場合は基準となる重さを倍にしていったのに対して、唐墨の場合は基準となる重さを分割してサイズを表現していきます。
 なお、「斤」は、中国古来の度量衡(どりょうこう)──「度」は長さ、「量」は体積、「衡」は質量のこと──の制度に基づく質量の基本的は単位。1斤は16両の重さに相当し、墨のサイズが「両」という単位で示されることもあります。

唐墨は1斤型(約500g)を基準にサイズが示される。

(協力・写真提供/栄豊齋)

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栄豊齋(電話 03-3258-9088)

◉参考文献
『筆墨硯紙事典』(天来書院編、天来書院、2009年)
『日本大百科全書』『精選版 日本国語大辞典』など(コトバンク

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