
近代、それは東洋にあり
愛知県の豊田市博物館の開館1周年記念として、岸田吟香没後120年「岸田吟香と岸田劉生―近代、それは東洋にあり―」が開催される。
ジャーナリストの先駆けであり、実業家でもあった岸田吟香(1833〜1905)と、吟香の子であり、洋画家の岸田劉生(1891〜1929)。吟香は、西洋文化の普及に関わる一方、当時最先端の中国(清)の書を日本にもたらし、劉生は、西洋絵画に学ぶとともに、中国の宋・元時代の絵画にも影響を受けた。
本展覧会は、吟香・劉生父子が遺した作品を中心に展示するとともに、関連する中国の書や近代日本の書なども紹介。「近代、それは東洋にあり」とあるように、日本の近代化を「西洋化」としてのみ捉える見方に再考の光を当てる。書関連の主な出品内容は、下記の通り(出品目録の全体は、こちら)。
・江戸後期の能書家
巻菱湖/市川米庵/貫名海屋
・幕末の書
西郷隆盛
・日本の書の近代化に影響を及ぼした清人の書
鄧石如/徐三庚/楊峴/趙之謙/潘存/楊守敬
・1880年楊守敬の来日と六朝書の影響
《鄭羲下碑(旧拓)》/《高貞碑(旧拓)》/日下部鳴鶴/中林梧竹/巖谷一六
・吟香と同時期に渡清して書の影響を受けた人々
副島種臣/岸田吟香/秋山白巌/西川春洞/初世中村蘭台
・六朝書のさまざまな展開
《中嶽嵩高霊廟碑(旧拓)》/《爨宝子碑(出土初拓)》/《天発神讖碑》/中村不折/河東碧梧桐
・岸田吟香の書と画

「隷書四言古詩 良晨美景」
豊田市博物館蔵

「童女図(麗子立像)」
神奈川県立近代美術館蔵

「臨鄭文公碑」
公益財団法人書壇院蔵

「積翠堂額」
菊屋旅館蔵
