墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。
書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。
大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。
墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。
vol.15 九谷焼の文鎮と筆置き
今回はちょっと趣向を変えて、文房四宝(筆墨硯紙)の周辺の話題を。九谷焼の文鎮と筆置きをご紹介します。
まずは確認。文鎮とは、書画を揮毫するときに紙を押さえる道具。「紙鎮」や「鎮紙」といわれることも。筆置きは、筆を洗って掛けておく「筆掛け」に対して、机上に置き、それを枕にして筆を寝かせて置いておくためのもの。「筆架」や「筆床」とも。
さて、九谷焼は、石川県の南部、加賀市、金沢市などで焼かれる陶磁器です。
その歴史は江戸時代に遡り、発端となるのは、明暦(1655~58)の頃から元禄(1688~1704)にかけて焼かれていたとされる「古九谷」。そして「古九谷」が廃絶し、文化(1804~18)から文政(1818〜80)の時期に再興(「再興九谷」)。その後、目覚ましく発展していき、明治に入ると海外への輸出も盛んになってさらに進展。現在の九谷焼に至っています。
九谷焼は、華やかな色絵の装飾に優れていて、1975年に国の伝統的工芸品に指定。またその技術は、1976年に石川県指定無形文化財に。
ここにご紹介するのは、そんな九谷焼の色彩豊かな文鎮と筆置きです。文鎮は大が400グラム、小が200グラムで、側面に滑り止めの溝があり、適度な重さで使いやすくなっています。文鎮の装飾は、(上の写真の右側の、上から順に)青磁、千鳥、桜。筆置きの装飾は、(上の写真の左側の、上から順に)市松、青磁、梅、菱、水玉、千鳥。どれも上品さと可愛いらしさがあって、とても魅力的です。
(協力・写真提供/栄豊齋)
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◉参考文献
宇野雪村『文房古玩事典』(普及版、柏書房、1993年)
『日本大百科全書』『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』など(コトバンク)