文房四宝だいすき帳 vol.10 かなの細字や臨書にぴったりの筆

墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。
書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。
大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。

墨に遊び、書作を楽しむとき、なくてはならない文房四宝(筆墨硯紙)。書室のなかでいつも一緒にいてくれて、眺めているだけでもしあわせな気持ち。大好き(だいすき)な文房四宝とその周辺のあれこれについて、気ままに綴っていきます。

vol.10 かなの細字や臨書にぴったりの筆

 これまで、馬毛羊毛など、原毛の種類に注目して筆を取り上げ、それぞれの特徴を見てきました。今回は、何を書くかというところに注目して筆をご紹介しましょう。

 下の写真は、かなの細字や、かな古筆の臨書にぴったりの筆。鋒先がよく利き、細く鋭い線を書くのに適しています。主な原毛は、いずれもイタチ毛です。イタチ毛の特徴については、こちらをどうぞ。

左から、一休園「さくら 中」(3.5mm×21mm)、
菊壽堂「すみれ」(3.5mm×20mm)、
菊壽堂「さやかⅡ」(3.5mm×20mm)。
いずれも鋒先がよく利く。

 かな古筆の臨書用の筆もあります。臨書にあたっては、線質を再現するために、筆の鋒(鋒先)を紙にどのように当てるか、筆の鋒にどのくらいの圧力をかけて、どのように開閉するか、等々が問題になってきますが、下の写真の臨書筆は、かな古筆のそれぞれの線質に合う鋒の大きさ、形、毛の質で作られています。

熊野製のかな用の臨書筆。
かな古筆それぞれの特徴に合わせた鋒になっている。

 それぞれの主な原毛も書いておきましょう。「小島切」「本阿弥切」は白玉毛、「寸松庵色紙」「継色紙」はコリンスキー毛、その他の「一条摂政集」「香紙切」「針切」「升色紙」「関戸本古今集」「和漢朗詠集」「元永本古今集」「高野切」はイタチ毛です。

 古筆の線質の再現(臨書)を極めようとするなら、筆だけではなく、紙や墨についても適したものを探っていくことが必要になってきますが、まずは臨書する古筆に合った筆を選ぶことで、書きやすさがぐっと増すはずです。

(協力・写真提供/栄豊齋)

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栄豊齋(電話 03-3258-9088)

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