
140×36.3×2
翁同龢 行書対幅
清朝末期
作者は翁同龢(1830~1904)。字は叔平、号は松禅、晩年は瓶庵居士。江蘇省常熟県の人。清朝後期の重要な政治家、書家である。父の翁心存は朝廷の重臣であった。翁同龢は早くからその才覚の高さで聞こえ、翰林院に就職した後、内閣学士、左都御史、戸部尚書、軍機大臣、総理各国事務衙門大臣などの役職を歴任した。また、同治帝、光緒帝の師も務め、清末の政治に大きな影響を与えた。書にも優れ、曾国藩、李鴻章らとともに晩清を代表する書家のひとりに挙げられる。晩年は政治的に失脚し故郷常熟に隠棲し、学問と書の研究に没頭した。
「風来竹自嘯、春入鳥能言」の語は、表面的には、風が竹林を吹き抜けると竹は自ずと囁き、春に入ると鳥はよく話をする、の意。生き生きとした自然の光景を描きながら、その裏に、君子は環境の影響を受けてより賢明になるという哲学的な暗示がある。
本作は、重厚かつ雄大さを感じさせる一幅で、翁同龢という人物のスケール感をよく味わえる優品である。


◉資料提供/光和書房
◉解説/呉 忠銘