王福庵 隷書七言集句聯
中華民国36年(1947)
王福庵(1880〜1960)、清朝末期から中華民国にかけての篆刻家・書家。もとの名は寿祺、後に禔と改名。字は維季、号は福庵・福厂。号でよく知られている。別の号として屈瓠・羅刹江民・印傭などがあり、70歳以降は持黙老人と称した。杭州府仁和県の人。
金石家の王同柏を父に持ち、幼い頃から家学を受け、書法や文字学の知識を身に付けた。1904年、20代にして丁仁・葉銘・呉隠とともに西泠印社を設立し、その後北京印鋳局で技師として活動。50代からは上海に移住し、晩年には浙江省文史館の館員や上海国画院の画師となった。
篆刻ははじめ浙派に学び、後に皖派の特長をも取り入れ、さらに周や秦・漢の古印を探究し、独自の整然とした重厚で古趣豊かな作風を確立した。また、彼の書は金石文・小篆について当代第一と評価され、後年は隷書・楷書にも高い格調を得た。
この作品では、篆書の結体と隷書の筆触が巧妙に融合され、深みのある質実で素朴な芸術的なスタイルが生み出され、王福庵の独自の金石趣味が表現されている。
なお、上款に出ている「彊邨老人」は清末の大詞人、朱孝臧のことで、本作品は朱孝臧が選び集めた清代詩人の詩文を書いたものである。
◉資料提供/光和書房
◉解説/劉斯倫