今月の名品 vol.19 「長生無極」瓦当

「長生無極」瓦当
 漢時代

 瓦を用いて建造物の屋根を葺くことは、古くから行われてきた。中国では、紀元前の周時代の遺跡から瓦が出土している。特に戦国から漢時代にかけて、屋根の軒先の先端にあたる瓦当部分は、文字や画像や紋様で多彩に装飾が施された。王宮をはじめとして多くの木造建造物が地上に造られていたが、当時の建造物は全てが亡び、今に伝わるものはない。しかし、屋根が崩れ落ち、土に埋まった瓦が地中から当時のままの状態で出土してきている。墓に埋葬されたものではなく、二千余年前に建造物の屋根に実際に使われていた瓦である。近代になり大いに注目されだした。現代では経済開発にともない、以前と比べものにならないくらいに多くの瓦当が発見されている。瓦当を飾る各種の紋様や篆書を用いた文字布置の多様性を通して、古人の文字に対する叡智を見ることが出来る。
 ここに示した漢時代の「長生無極」瓦当は、4字の吉語である。円を4分割した扇型の平面に篆書体を用いて「長生無極」の4字を巧みに布置している。現代の篆刻芸術に通じるところがある。

さまざまな「長生無極」瓦当

◉資料提供/光和書房、木雞室(後半4点)
◉解説/伊藤滋

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