鄭羲下碑(ていぎかひ)
511年(北魏・永平4年)
雲峯山、太基山、天柱山などの崖壁に、40余種の摩崖刻石が点在する。これらは、鄭道昭の手になるものであり、一般に『雲峯山全套』などと称せられる。
その第一に挙げられるのが、父鄭羲の事蹟を記した『鄭羲下碑』(『鄭文公下碑』ともいう)である。摩崖の中で最も字数が多く、その書風は、額の7文字が示すように右上がりで、起筆は方筆を用い、力強い運筆の書である。本文の文字は、摩崖の石が粗いために字画がやや不鮮明になり、却って茫洋とした趣を呈している。
(木雞室蔵併記)