龍門造像記小品(りゅうもんぞうぞうきしょうひん)
5世紀末〜6世紀初め(北魏後期)
龍門は河南省の洛陽の伊水のほとりにある。この岩山に石窟を掘り、その洞窟の壁面に仏像を刻し、亡人を弔った。北魏の後期から唐代にかけて夥しい数の造像が刻された。龍門を対岸から遠望すると、まるで蜂の巣の如き様を呈している。この由来を記したのが造像記といわれる。18世紀頃から書の古典として注目されだした。その代表的なものが『龍門二十品』などと称される。
ここに示したものは、龍門造像の小さいもので、文も非常に簡単なものであるが、その横に刻された仏像や供養者のレリーフと相俟って、美しい趣を醸し出している。『龍門二十品』の書に比して、やや稚拙で、刻し方も粗雑な面があるものの、大造像に劣らぬ魅力を秘めているものが多い。
(木雞室蔵併記)