枯樹賦(こじゅふ)
630年(唐・貞観4年)



(冒頭より)
北周の庾信の作を褚遂良が書いたと伝えられている。拓本で伝来するのみであり、褚遂良の作とする確証はない。しかし、行書の手本として尊ばれてきた。一般に知られるものとして、明代の『戯鴻堂法帖』や『玉煙堂法帖』に収められたものが有名である。他に『聴雨楼法帖』にも収められている。
ここに示したのは、『聴雨楼本枯樹賦』の精拓本である。それと全く同系で一般に『古拓本枯樹賦』と称されるものを比較して示した。『古拓本』の方は、江戸時代の長崎貿易により将来されたものである。拓の状態は、非常に粗雑である。『聴雨楼本』などを元にして翻刻されたものではなかろうか。ともあれ、この2件、内容、書体とも同じであるが、風韻、表現は大いに異なる。



(冒頭より)

