木雞室名品《游墨春秋》 第18回 礼器碑

礼器碑(れいきひ)
156年(後漢・永寿2年)

碑陽(巻頭)

 正しくは『漢魯相韓勅造孔廟礼器碑』という。古くから、漢人の書は『礼器碑』をもって第一とすると評され、隷書碑の最高に置かれてきた。碑陽の書風は、点画がやや細く、遒勁であり、文字の中心をなす横画の抑揚の変化は実に大きく、波磔は躍動している。この碑は、山東省曲阜の碑林にある。碑陰、左右の側と四面からなる。それぞれ書の趣が少し異なる。
 図版拓本は、明拓の旧拓ではなく、清代中期頃の拓と思われる。碑面の損した部分に淡墨による塗墨が見られるが、諸本と比較してみると字画が鮮明である。この本は、李朝時代の装訂がなされており、題簽と内の「御賜」の2文字が、李朝の著名な書家・金正喜の筆である。恐らく、李朝の役人が清朝へ使節として出向した時に得たものであろう。また、同時代の尹師國の釈文と跋文がある。

(木雞室蔵併記)

碑陽
李朝の書法家・金正喜の筆
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