孔宙碑(こうちゅうひ)
164年(後漢・延熹7年)
『漢泰山尉孔宙碑』という。孔宙は孔子の子孫であり、家学を修め泰山都尉についた。その孔宙の徳政を故吏や門人が讃えた碑である。
この碑の文字は、漢碑の中にあってやや大きい。清末の楊守敬は、「八分の正宗にして、一字として飛動せざるはなし。一字として規矩にあわざるなし」と評している。点画に渾古の趣があるが、やわらかで流麗な八分隷に属するであろう。原碑は、山東・曲阜の孔廟にある。
家蔵拓本は、20代の終わり頃、偶然に入手した。末に伊秉綬の金泥による跋文が付されている。保存の佳い旧拓本といえようか。
(木雞室蔵併記)