木雞室名品《游墨春秋》 第16回 孔宙碑

孔宙碑(こうちゅうひ)
164年(後漢・延熹7年)

巻頭

 『漢泰山尉孔宙碑』という。孔宙は孔子の子孫であり、家学を修め泰山都尉についた。その孔宙の徳政を故吏や門人が讃えた碑である。
 この碑の文字は、漢碑の中にあってやや大きい。清末の楊守敬は、「八分の正宗にして、一字として飛動せざるはなし。一字として規矩にあわざるなし」と評している。点画に渾古の趣があるが、やわらかで流麗な八分隷に属するであろう。原碑は、山東・曲阜の孔廟にある。
 家蔵拓本は、20代の終わり頃、偶然に入手した。末に伊秉綬の金泥による跋文が付されている。保存の佳い旧拓本といえようか。

(木雞室蔵併記)

帖中にも鑑蔵印がいくつも押印されている
巻末
巻末の伊秉綬の金泥による跋文
右上の「東閣梅華」も伊秉綬の鑑蔵印
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次