木雞室名品《游墨春秋》 第14回 曹全碑

曹全碑(そうぜんひ)
185年(後漢・中平2年)

碑陽・冒頭

 隷書は漢代に入り完成され、美しい波磔を具えた「八分」隷と称される書体が、後漢末に隆盛を極めた。『曹全碑』は、最も流麗な八分隷のひとつである。
 この拓本は、明末に碑が2つに断裂した後の拓本であり、「乾」字が改刻されていない清代中前期の拓である。擦墨拓の精本であり、近拓本に比してやや字画が肥え、のびやかな筆致を示し、未断本とほぼ同じ趣である。また、碑陰もほぼ同じ時期の拓であり、碑陽・碑陰がそろった旧拓本はそれほど多くない。
 この本は、清末の蔵書家・鄧邦述の蔵本であった。鄧邦述、字は正闇、孝先と号す。光緒辛丑(1901年)の進士であり、その書庫を「群碧樓」と称した。この本には、「群碧居士」(鄧邦述の印)、「穀靈校閲」等の印が鈐されている。帖末には、鄧邦述の跋が2頁にわたって付されている。

(木雞室蔵併記)

碑陽・末尾
碑陰・冒頭
碑陰・末尾
題簽
帖末の鄧邦述の跋
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