開通褒斜道刻石(かいつうほうやどうこくせき)
66年(後漢・永平9年)
漢時代の道路を完成させた時の記念に山の岩肌に刻されたものである。一般に摩崖碑と称される。漢代でも前漢に近く、後漢の流麗な「八分体」とは異なり、素朴な字画で、文字の結構、全体の章法も格にはまらず、自由でのびのびした感じに書かれている。
この刻石は石面が風化と取拓により損して、字画がしだいに見えなくなり、清代の後期に補刻された。補刻前と補刻後では、その字画が大きく異なる。ここに示した拓は、この『開通褒斜道刻石』の最旧拓に近いものである。これまで最旧拓とされた書道博物館本より旧く、精拓の整本である。
(木雞室蔵併記)