江戸時代中期の真言宗の高僧で、岡山県倉敷市連島にある宝島寺の住持であった寂厳(じゃくごん)。その生誕320年を記念し、同市の「きび美ミュージアム」にて、特別展「生誕320年 寂厳の書」が開催中だ(2022年12月25日まで)。
「きび美ミュージアム」には、倉敷の実業家・山田眞常(1914〜2000)が蒐集したコレクション(倉敷山田コレクション)が収蔵されており、生前、山田は寂厳、次いで良寛にも傾倒し、「良寛・寂厳記念館」(仮称)の構想を温めていた。「きび美ミュージアム」はその山田の遺志を継いで設立された、一般財団法人 倉敷山田コレクションが運営している。
本展では、同ミュージアム収蔵の逸品を惜しみなく出陳し、寂厳にしかない、スケールの大きな書の世界を展望する。また、寂厳の書法に影響を与えた江戸時代の儒者・書家である細井広沢の長巻2点も展示。
なお、会期中の12月4日には、「游墨舎ちゃんねる」にて「鑑定から鑑賞へ 人と書と歴史を探究する」を連載中の増田孝氏の講演会「寂厳の書状をひもとく」が開催される。また、魚住和晃氏(神戸大学名誉教授、きび美ミュージアム副館長)の講演会「寂厳と細井広沢」も同時開催。要予約。詳細は同ミュージアムにお問い合わせのこと。
生誕320年 寂厳の書
会期/2022年9月28日(水)~12月25日(日)
開館時間/10時~18時 ※入館は17時30分まで
休館日/月曜日・火曜日 ※祝日の場合は振替、臨時休館日はホームページにて告知
入館料/一般 700円、中高生 500円、小学生 300円
※10名以上の団体は2割引
※車椅子の方が入場の際の介助者は無料
◉特別講演会
日時/12月4日(日)13時30分~
場所/倉敷公民館 大ホール
聴講料/1500円 ※要予約。Zoom配信も予定。
「寂厳の書状をひもとく」
講師/増田孝(愛知文教大学前学長、書跡史学者)
江戸時代中期の真言宗の僧侶寂厳は、元禄15年(1702)、備中足守藩藩士の子として生まれました。俗姓は富永氏。字(あざな)は諦乗(たいじょう)。備中都羅島(つらじま)宝島寺(ほうとうじ)の住持となった能書家です。梵字(サンスクリット)の研究を深め、明和8年(1771)8月3日 70歳をもって遷化しました。講演では、寂厳の書簡2通を読みときながら、その書から何がくみ取れるのかをお話したいと思います。
「寂厳と細井広沢」
講師/魚住和晃(きび美ミュージアム副館長、神戸大学名誉教授)
寂厳ほど無原則に書し、かつ書することをこよなく楽しんだ人はありません。しかも、その自由で気ままな書を、鞆(とも)の浦に立ち寄った朝鮮通信使を通じて、朝鮮王国に贈呈しようと企てたほどの自信家でもありました。いったい寂厳は書に何を求め、何をよりどころにしたのか。それを寂厳がひたすらにあこがれた、江戸の儒者であり書学者としても知られる、細井広沢の存在に結びつけて考えます。
きび美ミュージアム
〒710-0046 岡山県倉敷市中央1丁目4-22
「くらしき宵待ち GARDEN」内
TEL 086-425-8080
URL https://kibibi.or.jp