今日は、岡野楠亭先生の篆刻のお教室です。
先生の指導のもと、
生徒さんは、それぞれの課題に取り組んでいます。
競書誌に提出する作品を準備していたり、
展覧会のための作品を準備していたり。
教室では、自宅で自習して用意してきたものや、
教室で仕上げたものを、先生に見ていただきます。
篆刻の学習に、篆書の勉強は欠かせません。
半紙に篆書を書いている生徒さんもいます。
初心者の方は、楷書も練習します。
お手本は、先生に朱墨で書いていただきます。
ある生徒さんは、
印面に布字(字入れ)したものを、
先生に見ていただきました。
先生は、全体が少し傾いているかもしれないと指摘。
筆を入れて、修正していきます。
また、ある生徒さんは、
展覧会のための作品の印稿を用意して来ました。
先生のところに持っていくと、
他の生徒さんも注目して、集まってきました。
先生は、印稿に寸評を加えながら、
鉛筆で新しい草稿をスケッチしていきます。
教室では、ときおり、
碑法帖等の名品を鑑賞する機会に恵まれます。
今日は、そんな幸運な日になりました。
最初に登場したのは「九成宮醴泉銘」。
初唐の三大家のひとり、欧陽詢の楷書です。
本で知っている有名な古典であっても、
碑面全体の拓本を見る機会はあまりないので、
その存在感に、みんなの視線が釘付けになります。
次は「開通褒斜道刻石」。
後漢時代の摩崖碑で、書体は隷書(古隷)です。
同じ「開通褒斜道刻石」の二つの拓本を比較して、
どちらの拓本のほうが古いか、
新旧談義がひとしきり盛り上がります。
最後は「鄭羲下碑」。
北魏時代の摩崖碑で、筆者は鄭道昭、書体は楷書です。
先ほどまでとは場所を変えて、
床いっぱいぎりぎりに広げることができました。
生徒さんそれぞれの課題も着実に進み、
今日は、拓本鑑賞のひとときもありました。
教室が終わるまで、篆刻と書の話題は尽きることなく、
和やかな会話が続いていきます。
(取材日/2022年4月)