春敬記念書道文庫より、平安古筆の名品をご紹介する連載。
同文庫については、こちらをどうぞ。連載一覧もご覧いただけます。
春敬記念書道文庫より、平安古筆の名品をご紹介する連載。同文庫については、こちらをどうぞ。連載一覧もご覧いただけます
伝西行筆 小色紙
紙本墨書 一幅
平安時代 12世紀
藤原俊忠の家集「俊忠集」の写本の断簡。藤原俊忠(1071~1123)は御堂関白藤原道長の孫で、藤原俊成の父にあたる。もとの装丁は綴葉装の冊子本と考えられ、他に個人蔵の断簡が10点ほど知られている。料紙は縦9cm、横10cmほどの素紙で、小型の冊子本の断簡を小さい色紙の形に見立てたことによる名称である。
筆者は西行と伝えるが、真筆の「一品経和歌懐紙」と比べると同筆とは言えない。伝西行筆の「未詳歌集切」や「山家心中集」などの筆跡に似ており、力強く闊達な運筆で連綿が縦に良く貫通している。書風から伝称筆者の西行とほぼ同時代、平安末期から鎌倉初期の書写で、本書は「俊忠集」の写本としても最古の伝本と考えられる。
◉所蔵/一般社団法人書芸文化院 春敬記念書道文庫
◉解説/飯島太比呂