木雞室名品《王羲之逍遙》 第11回 集王聖教序碑

集王聖教序碑 しゅうおうしょうぎょうじょひ
672年(唐・咸亨3年)

宋拓本
明拓本(趙秉沖旧蔵本)

 王羲之の書を集字して制作された碑である。このことから、一般に『集字聖教序』とも称す。書聖・王羲之の書法を伝える最も優れた碑である。そのために、建碑されてから今日に至るまで、夥しい量の拓本がとられてきた。碑は西安の碑林博物館に陳列されている。この碑の書は、「宋拓本」でなければ建立当初の書風を見ることはできないと言われる。確かに、「宋拓本」と「明拓本」「近拓本」では、その字画の趣が異なる。
 図版には「明拓本」と「宋拓本」の2種を示した。「明拓本」は趙秉沖(字は謙士、研懐と号す。乾隆の挙人、金石の学を好む)の蔵本である。巻末に、清末の沈曽植(1852〜1922、字は子培、巽斎、寐叟と号す。光緒6年の進士、学識博く、書法は漢碑、北碑、章草を合わせて独自の風を作る)の跋がある。この跋は『海日楼文集』や『寐叟題跋』に収められている。
 「宋拓本」は、数年前に偶然なことから入手した。確たる「宋拓本」であり、張燕昌、呉大澂、于右任などの鑑蔵印が見られる。残念なことに、中間の数開が失われて「明拓本」で補われている。しかし、さきの「明拓本」と比較してみると、「宋拓本」の字画は全く異なる。「宋拓本」の持つ墨色は、「明拓本」などと比べて全く別の趣を示している。

(木雞室蔵併記)

明拓本の巻末、沈曽植による跋
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