春敬記念書道文庫の古筆 第9回 伝寂蓮筆 大色紙

春敬記念書道文庫より、平安古筆の名品をご紹介する連載。
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伝寂蓮筆 大色紙
紙本墨書 一幅
平安時代 12世紀

21.6×18.2cm

「古今和歌集」(905年成立)の中から抜粋書写した、もとは巻物の断簡である。現在は3点のみが知られている。本品は巻2「春歌下」72番の和歌の部分。「源氏物語絵巻」の詞書の断簡と同じく、金銀切箔、砂子、野毛などを撒いた非常に華麗な料紙が用いられている。おそらく手習い用の調度品として書かれたものであろう。
 伝称筆者は寂蓮(1139?~1202)とされるが、真筆とされる「一品経和歌懐紙」と比べると異筆である。書風は側筆を用いていて、たっぷりとして太い部分ときわめて細い部分があり、字粒も大きい。12世紀中頃の書写と考えられ、現存する点数が少なく美麗な装飾料紙を使用していることから貴重な古筆切といえる。

◉所蔵/一般社団法人書芸文化院 春敬記念書道文庫
◉解説/飯島太比呂

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