書道に関するおバカな質問 vol.5 ネットで安い印を買ってはダメですか?

疑問を持ちつつ、なんとなくそのままにしていることってありませんか?
游墨舎スタッフの素朴な(おバカな)疑問を、その道のプロフェッショナルの方々にお尋ねしてみました。
いただいた回答をもとにひとつの考え方として示しました。
たいして役には立たないでしょうが、まずはご参考までにどうぞ。

疑問を持ちつつ、なんとなくそのままにしていることってありませんか? 游墨舎スタッフの素朴な(おバカな)疑問を、その道のプロフェッショナルの方々にお尋ねしてみました。いただいた回答をもとにひとつの考え方として示しました。たいして役には立たないでしょうが、まずはご参考までにどうぞ。

そもそも印の良し悪しもわからないし、印にかけるお金もないです。

Q ネットで安い印を買ってはダメですか?

 書の作品に押す印のことなんですが、今度展覧会に初めて出すので、印が必要になりました。でも、プロの方に頼むとすごーく高いと聞きます。そもそも印の良し悪しもわからないし、印にかけるお金もない。ネットで安価で手に入るみたいなので、それでとりあえず間に合わせても問題ないですよね?(20代、会社員)

A
 恐ろしいことをおっしゃってますねえ。印は赤ければ何でもいいというものではないんですよ。
 分かりやすくいうと、書作品における印は、書がたとえばワンピースだとすると、印はバッグや靴、アクセサリーのようなものです。スーツなら、ネクタイや時計や靴でしょう。素敵な服を着ているのに、いかにも安っぽいネクタイやアクセサリーをつけていたらおかしくないですか? 印は、うまく使えば書を引き立てもしますが、両者の質のバランスが悪いと作品を台無しにしてしまいます。(優れた書と、優れた印でも、取り合わせが大切になりますが、質問自体がまだその域ではないので、ここでは触れません。)
 どのレベルの展覧会にしろ、自分の作品を彩ってくれるように印を用いるべきで、ないがしろにすべきではない。とりあえず適当でいいやという雑な思考や、意識の低さというのは、書にも出てきてしまうものですし、周りにもわかってしまうものです。
 まず、印に注目して先生方の作品を見てみましょう。たぶんあまりそういう経験がなかったのだと思います。印と一口に言っても、雰囲気がそれぞれ違いますね。漢字作品とかな作品では、用いられる印の表情にも差があります。それが見えてくると、自分の作品にはどういう印が似合うのだろうと考えてみてください。
 そして、書の先輩方に、印の依頼方法や、価格などをざっくばらんに聞いてみてはいかがですか。あるいは直接先生にお尋ねになってみてください。20代のあなたが支払える範囲で、きっと良い方法を示してくれると思います。
 また、自刻の印を使いたがる向きもありますが、安易に用いるべきではないと思います。篆刻を楽しんでいるのは良いことですが、公式の展覧会の場に出しうるレベルかどうか冷静に見極める必要があると思います。
 書と印、さらに表具も含め、すべてがひとつのレベル、美意識で統一されて、はじめて「作品」といえるのだと思いますが、いかがですか。

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