書道に関するおバカな質問 vol.13 墨磨りマシーン!?

疑問を持ちつつ、なんとなくそのままにしていることってありませんか?
游墨舎スタッフの素朴な(おバカな)疑問を、その道のプロフェッショナルの方々にお尋ねしてみました。
いただいた回答をもとにひとつの考え方として示しました。
たいして役には立たないでしょうが、まずはご参考までにどうぞ。

疑問を持ちつつ、なんとなくそのままにしていることってありませんか? 游墨舎スタッフの素朴な(おバカな)疑問を、その道のプロフェッショナルの方々にお尋ねしてみました。いただいた回答をもとにひとつの考え方として示しました。たいして役には立たないでしょうが、まずはご参考までにどうぞ。

書道の根本のところが機械化するということは……。

Q 墨磨りマシーン!?

 墨磨機というものがあることを知り驚きました。墨磨りという、書道の根本のところが機械化するということは、進歩なのでしょうか?(20代、学生)

A
 墨色というのは、書の美においてとても大切な要素です。良い硯、良い固形墨、磨り方、寝かせる時間、紙との相性、ひいては気温湿度まで、様々な要素が絡み合って出現する1回きりの偶然の出来事といえます。
 墨磨機というのは、その中の墨磨りの部分だけを人に代わって行う機械で、これを必要とするのは、たぶん書家の方(かなの書家は除く)くらいだと思います。展覧会に出すとなると、これぞプロの仕事といわれるような美しい墨色の作品に仕上げたい。とはいえ、大きな作品には大量の墨液が必要なので手で磨っていては間に合わない。という場合に登場するのが墨磨機なのだと思われます。
 墨磨機と一言でいっても性能は様々で、初期の単純な構造のものから、より手磨りに近い状態を再現できるように改良が重ねられてきて、機械の性能は進歩しています。
 しかしそれで、書道の進歩云々というのは少々飛躍しすぎかと。アナログからデジタルに代わったというような劇的な変化ではなく、墨磨り作業から解放されて便利になった人がいる、くらいの認識でよいことだと思います。機械が登場するまで、お弟子さんを総動員して夜通し墨を磨らせた、なんていう書家がいたという話も伝わっていますから。
 一方、市販の墨液も、より手磨りに近い色を求めて改良が重ねられてきています。現在では、墨を磨らないで墨汁のみという方の方が多いかもしれません。液墨の質の向上は進歩といってもいい。 
 ある画家と書道の話をしたときのこと、彼は墨磨機について「そんなものがあるんですか! うーん、こだわっているのか、こだわっていないのか、よくわかりませんねー(笑)」と言っていました。なかなかに本質をついている言葉だと思います。

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