日本と中国、それぞれの国で書は学ばれています。
学びのスタートである〈子ども〉の習い方を知れば、より文化の違いが見え、理解も深まるはず。
お互いのよいところを取り入れて、子どもたちの才能を大いに刺激してみましょう。
vol.3 ●日本編 子ども版文房四宝
日本の小学校では小学3年生から書写の授業が始まり、その時に書道セットを購入することが多い。
セット内容は筆、筆巻き、墨、液体墨、硯、水差し、下敷き、文鎮など。一揃いがバッグに収まるようになっている。
そのバッグも以前は黒と赤の二択だったが、今ではキャラクターやスポーツブランドとコラボレーションしたものなど、デザインも色もさまざま。近年は「男女らしさ」にとらわれないデザインも増えた。
現在、子どもたちにとって「墨」といえば液体墨のことで、固形墨は不思議な存在になりつつある。固形墨を見て「これは何に使うもの?」という質問も出るほどだ。ある小学校では、墨で汚れること心配して、500円玉サイズだけ液体墨を出すように指示することもあるそう。
書道教室で墨磨り体験を行うと、徐々に黒く変化する様子を見て「マジックみたい~!」と目を輝かせる小学生たち。実際にその墨を使って書くと、「筆が動きやすい!!」とさらに驚いていた。
液体墨を使うことから硯もプラスチックやセラミックが主流で、セット全体がとても軽くなった。日本の子どもたちの文房四宝は使い勝手を求めて変化を続けるが、それは進化なのだろうか……。