12月18日、文化審議会の無形文化遺産部会において、「書道」がユネスコ無形文化遺産の提案候補として選定された(文化庁による報道発表)。
ユネスコ登録推進運動は、2013年の超党派議員による「書道国会議員連盟」の設立、翌2014年の高木聖鶴(1923〜2017、文化勲章受章者)、日比野光鳳(1928〜2023、文化功労者)、井茂圭洞(1936〜、文化勲章受章者)の3氏連名による、文化庁長官への要望書の提出にまで遡る。そしてその後も「日本書道ユネスコ登録推進協議会」の設立(2015年)、国の「登録無形文化財」への「書道」の登録(2021年)──また同2021年には「日本書道文化協会」が設立、文部科学大臣から「書道」の保持団体として認定された──と、書道界をあげて進められてきた。長い道のりを経た運動が今回ようやく実を結び、議員連盟・協議会・協会の関係者はもちろん、運動に賛同・賛助してきたさまざまな団体・個人など、書道界全体に大きな喜びが広がっている。
今後は、来年1月に開かれる無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議での審議・了承を経て、3月末までにユネスコに提案書が提出され、その後、2026年にはユネスコ無形文化遺産の登録が審議されることになる。
なお、これに先立つ11月18日、東京都港区のニューピアホールにて、「書道」のユネスコ無形文化遺産登録実現に向けての特別揮毫会が開催された。ここでは、その様子についてもお伝えしよう。
特別揮毫会は、上の3団体(書道国会議員連盟、日本書道ユネスコ登録推進協議会、日本書道文化協会)の主催で行われた。開会にあたり、書道国会議員連盟会長・塩谷立氏が挨拶、続いて主な来賓・役員が紹介された。そして第1部として、千葉県の中央学院高等学校書道部(顧問・川上緑)、長野県の松本蟻ケ崎高等学校書道部(顧問・大澤一仁)の高校生たちが書道パフォーマンスを披露。第2部では、日本書道文化協会の役員・会員の書家の中から、新井光風(旭日小綬章、恩賜賞・日本芸術院賞)、土橋靖子(日本芸術院賞)、永守蒼穹(日本芸術院賞)の3氏が、それぞれ漢字書、かな書、漢字かな交じり書の揮毫・解説を行った(日本書道協会によって3氏による揮毫・解説の動画が公開されているので、ぜひご覧いただきたい)。
国内の提案候補に選定されるかどうかの正念場の時期、会場には400名ほどの招待者が集まり約2時間、書道界としての決意表明ともなる熱気あふれるイベントになった。その熱気は、今回の文化庁の報道発表により今後さらに大きく波及し、ユネスコ登録実現の機運をますます高めていくことだろう。